ワードアートはなぜダサい?平成レトロで再燃する理由と公式バズの正体
一度はデザイン史の片隅に追いやられたワードアートですが、近年ではSNSプロモーションにおける「最強の飛び道具」として返り咲いています。記憶に新しいのが、日本マクドナルド公式X(旧Twitter)が投稿した新商品告知ポスターです。レインボーカラーの立体文字、蛍光グリーンの影、不規則に散りばめられた星マークなど、往年の町内会チラシを完璧にトレースしたビジュアルは数万リポストを記録し、「公式が暴走した」「デザイナーが全力でダサく作っている」と大喝采を浴びました。
さらに注目すべきは、厳格な情報発信が求められる官公庁や行政機関(内閣府や警視庁など)のアカウントでも、啓発キャンペーンに同様のテイストが取り入れられた点です。美麗でお洒落なインフォグラフィックが溢れかえる現代のフィードにおいて、整然とした投稿は指を止めることなくスクロールされてしまいます。しかし、そこに突如として「強烈な原色の立体文字」が飛び込んでくると、脳が強烈な違和感を検知し、思わず手を止めてしまうのです。
これは、卓越したスキルを持つプロのデザイナーが、計算し尽くして文脈を外す「高度な脱構築」です。ダサいものを無意識に作ることと、効果を熟知したうえで「あえてダサくする」ことの間には、天と地ほどの戦略的格差が存在します。