カイ・ニールセン作品集『夢の世界』の美しさが話題!100年色褪せない幻想挿絵の全貌
現代でこそ「挿絵の巨匠」として神格化されているカイ・ニールセンですが、インターネット上の一部まとめサイトで見られる「生涯にわたり富と名声に恵まれた華やかな芸術家」という言説は、明らかな歴史的事実の誤認です。
世界恐慌の荒波や第二次世界大戦の勃発によって挿絵本の豪華特装版市場は崩壊し、ニールセンは晩年、カリフォルニアの片隅で極貧と病に苦しみながら、地元スクールホールの壁画を描いて糊口をしのぐ日々を送りました。彼の妻ウラが遺品を守り抜き、没後に再評価の気運が高まったことで、今日の不動の評価が確立されたのです。作品の端々に宿るあの胸を締め付けるような切なさと哀愁は、彼自身の過酷な運命の裏返しでもあります。
【プロの結論】本書を手元に残すべき人・慎重になるべき人の判断基準
美術書としての完成度が極めて高い本書ですが、購入を検討する上での明確な判断基準が存在します。
【今すぐ手に入れるべき人】
・アール・ヌーヴォー、デカダンス、象徴主義などの近代美術を愛好する方
・ゲーム、アニメ、イラストレーションの現場で本格的な世界観構築・デザインの着想源を求めるクリエイター
・本棚に一生モノの美術工芸的価値を持つ作品集を備えておきたい読者
【やや慎重に検討すべき人】
・ディズニー的な明るくポップで陽気なおとぎ話の挿絵のみを期待している方
・手軽な文庫サイズや電子書籍の手軽さを最優先し、大判ハードカバーの重量感を好まない方